安藤晶子 Akiko Ando
安藤晶子(あんどう・あきこ)は1987年茨城県生まれ。東京工芸大学デザイン学科卒業後、作品制作の傍ら、書籍の装丁や装画、挿絵、CDアートワークなど多様な領域で活動を展開してきました。近年は絵画作品の発表を精力的に行い、Idemitsu Art Award展2022に入選するなど注目を集めています。
水彩、油彩、コラージュなど複数の技法を往還しながら構成される画面は、時間や記憶の堆積を思わせる層を内包しています。これまで水彩による繊細な描写や、自身が描いたイメージを切り貼りして再構成するコラージュを主な手法としてきましたが、近年は油彩にも取り組み、支持体や物質性への関心を深めています。幻想的でありながらどこか懐かしさを帯びた色彩や質感の重なりは、個人的な感覚と日常の記憶とを往還させるような空間を画面上に立ち上がらせます。
作品の中には、男性とも女性とも判別のつかない人物のような存在が度々登場します。作家はそれらを「天使」と呼び、生命の尊さや祈り、そして日常の中に潜むかけがえのない存在の象徴として描いてきました。近年は、椅子や植物、衣服など身近なモチーフにも向き合いながら、親密な存在との距離や関係性を探る試みを続けています。
日々の暮らしの中でふと立ち現れる感情や気配を丹念に拾い上げ、画面の中に再構成していく安藤の制作は、私たちが見過ごしがちな時間や感覚に静かに光を当て、存在を肯定するための場を生み出しています。