LEESAYA

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金光男

どこかしらの雰囲気


本展は、金が近年新たに取り組んでいるカラー写真を使ったシリーズ「SUN」から《家族》をテーマとした新作群を発表いたします。

金光男(きむ・みつお)は1987年大阪市に生まれ、2012年には京都市立芸術大学大学院を修了後、 VOCA展2014 奨励賞や京都市芸術新人賞を受賞。金沢21世紀美術の若手作家の個展シリーズ「アペルト」の第一回目にて発表。昨年は台湾での個展を開催するなど国内外で活躍しています。

金はシルクスクリーンの技法を応用し、蝋を薄く塗ったパネルにイメージを定着させています。作家が撮影した写真のイメージを刷った画面に、あえて熱を加え溶かし固めることで自身の眼差しや存在そのものの不確かさや曖昧さを象徴しています。

2021年にLEESAYAで開催した個展 グッド・バイ・マイ・ラブ では初めて作家自身のルーツについて詳しく語る内容となりました。戦中の母親の壮絶な経験談と、非当事者としての金の感受、その上に成り立つ外国人として日本に生まれ育ち、日本社会で暮らしていくリアリティを具に描き出しました。またこの展覧会では、カラー写真を使った作品を初めて発表し、作家の中で表現の幅を大きく広げた契機となりました。

本展では、自身のルーツや社会的な不安定さと寄り添いながら生きてきた金が、父親として子を育てていくことで新たに得た気づきを作品に表現します。善意や、それぞれの正義、良かれと思って施した結果が必ずしも全て正解とは限らない。グローバリゼーションの岐路に立たされている現代社会において、金光男の個展 どこかしらの雰囲気 が考える契機となることを期待します。

なお、2024年1月10日(水)から28日(日)の会期にてTERRADA ART AWARAD2023ファイナリスト展の参加を予定しております。今後の活躍にご期待くださいますと幸いでございます。

作家ステートメント

「この子達の親だから」、「小さい子だから助けてあげるよ」と、彼らが発する言葉は解らないけれど、なんとなく雰囲気で解ったフリをして傲慢に接してしまうと、思いもよらない拒絶が待っていたりする。
数ヶ月、数年生きた子達にも当たり前に彼らのルールと尊厳がある。
触れて欲しくない事を態度をもって示しているのに、勝手な推測で彼らの境界を侵してしまった。

この家の中で起こった事から、境界線ついて、思い上がった支配、他者を理解する事について考えようと思う。

金光男

https://www.terradaartaward.com/ja/finalist/

どこかしらの雰囲気