石山未来, 赤羽史亮, 髙橋銑
永永無窮
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- PRESS RELEASE
WORKSINSTALLATION VIEWS
画家が絵を描き、彫刻家が素材を刻む。その営みの果てに生まれた作品は、展覧会で展示され、売買され、誰かの手に渡ることもあれば、倉庫に眠り、やがて忘れ去られることもあります。発表されたもの/されなかったもの。評価されたもの/無視されたもの。それらすべてが、等しく「作品の行方」です。
1960年代以降にみられるロバート・モリス、エヴァ・ヘスのようなポスト・ミニマリズムをはじめとした美術作品は単なる物質的成果としてではなく、プロセスや痕跡、存在の余白までも含んで捉えられるようになりました。見えるものだけでなく、見えないもの、語られなかった時間、失われゆく気配。それらが作品の一部として浮かび上がることで、単に鑑賞者は「見る」者ではなく、行為や時間を「見出す」存在となり得るかもしれません。
本展は「もの」や「行為」のなかに沈殿する時間や気配、人の手を離れたあとの存在のゆくえに目を凝らし、さまざまな素材を用いてアプローチをする3名の作家による試みです。作品の行方は、単に流通や展示の有無にとどまりません。忘却、風化、変質—そうした「終わり」もまた、作品の一部であり、時間の中でその痕跡は見えないかたちで漂い続けます。
この展覧会では、完成品だけでなく、周縁にある気配や、見えなかった痕跡、人の手を離れた後に残された時間、そして記録されなかった祈りのような行為までもが、会場全体に存在するでしょう。残るものと失われるもの。そのあわいに立つこと。それは、つくるという行為の本質に触れることでもあります。
アーティスト石山未来による企画展「永永無窮」をぜひご高覧ください。
石山未来
作家紹介
赤羽史亮(あかはね・ふみあき)
1984年長野県に生まれ、武蔵野美術大学造形学部油絵学科を2008年に卒業。主な展覧会に「生と循環 - Life and Circulation」、アンフォルメル中川村美術館(2024)、「Soil Psychedelia」、CAVE-AYUMI GALLERY(2023)、「Soils and Survivors」、諏訪市美術館(2023)など。
石山未来(いしやま・みき)
1998年北海道に生まれ、東京都藝術大学大学院美術研究科油画研究分野絵画専攻修士課程を2022年に修了。象徴主義、神秘主義、人類の信仰心、文化人類学的な観点などに関心を持ち、主に大型の絵画を通して制作を行っている。主な展覧会に「ATAMI ART GRANT 2024 超-Beyond ATAMI」、尾崎ランドビル3階(2024)、「「見る」をほどく」、ANAインターコンチネンタル東京(2024)、「幕間 Vol.01奥山の、しきみが花の名のごとや」、Gallery&Restaurant舞台裏(2024)、「ILLUSION- 錯覚との向き合い方-」、Tokyo International Gallery(2023)など。
髙橋銑(たかはし・せん)
1992年東京都に生まれ、東京藝術大学大学院 美術研究科彫刻専攻修士課程を2021年に修了。近現代彫刻の保存修復に携わりながら、自身もアーティストとして作品制作を行う。保存修復の知識や経験を起点とし、彫刻、映像、インスタレー ションなど多岐にわたる作品を展開している。主な展覧会に「リニューアルオープン記念特別展
Before/After」、広島市現代美術館(2023)、「これらの時間についての夢」、宇都宮美術館(2022)、「ArtistProject#2.06 髙橋銑」、埼玉近代美術館(2022)など。
