LEESAYA

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安藤晶子

草のように、バラの香りをさせて


 安藤晶子(あんどう・あきこ)は 1987年茨城県に生まれ、東京工芸大学デザイン学科卒業後イラストレーターとして、ルミネ池袋でのショーウインドウ制作や、本の装画、歌手・カネコアヤノ氏とのコラボレーションをはじめ、数多くのアートワークを手がけてきました。2020年1月のLEESAYAでの個展「庭園」の記憶も新しく、彼女の世界観は多くの鑑賞者を惹きつけ、大変ご好評をいただきました。

 安藤の驚くほど緻密で繊細な絵画表現には目を見張るものがあります。A4サイズほどの画面に敷き詰められた抽象的なモチーフや、人物像、アルファベットなど細かな要素はあらかじめ決められたイメージの道筋を辿るのではなく、偶発的な線と色の出会いから徐々にフォルムが形作られていきます。紙を支持体とした作品を数多く制作してきましたが、近年ではキャンバスや板絵など、様々な素材を使い表現の幅を着実に広げています。作家は制作過程について次のように話します。


 絵を描くことは、森に入って、美しいと感じた実をひとつ、またひとつ、と拾い集めながら目的地もなく歩いていくような行為に似ている。ふり返ると道筋ができていて、 “自分が何かを美しいと感じる心”を解放していった時間の過程が絵になっている。


 安藤作品の中に度々現れる人物像は男性でも女性でもない、作家にとって天使のような存在であり、絵画自体もイコンのようなものだと言います。彼女にとって絵を描くことは瞑想にも似たヒーリングであり、それは自身だけではなく他者—世界に向けたものでもあります。安藤の描く画面には安寧への祈りと、日々を紡ぐささやかな願いが描き出されているのです。  今回の展覧会では、画面に卵の殻をコラージュした新作群を発表いたします。精力的に制作を続ける少壮気鋭の作家、安藤晶子の個展「草のように、バラの香りをさせて」を是非ともご高覧ください。

草のように、バラの香りをさせて