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宮田雪乃

枝分かれのQ


宮田雪乃は1986年三重県に生まれ、京都市立芸術大学大学院を修了後、現在は三重県で制作を続けています。作品は一見、アクリル画のように色鮮やかで、ドローイングのように軽快な印象ですが、全て版画作品です。版画技法の中でも凹版画に分類される方法で、金属版を彫るのが一般的ですが宮田は塩ビ板を彫り、プレス機でイメージを刷っています。塩ビ板は刷る際の圧力に弱いため数をたくさん刷ることができませんが、木版画や銅版画に比べてインクの発色が良く、独特のにじみが特徴です。

即座にイメージが立ち上がる絵画表現を選ばずに、あえて時間と手間のかかる版画技法を用いるのには作家の自己認識が大きく影響しているように思えます。

世の中のスピードがとてつもない速さで回転していく中で、社会や他者から投げかけられる需要や疑問に応えるべく最善を探している間に、立場や状況は刻一刻と変わり昨日同じ目的を持った仲であっても、微妙な差異が生まれ分断を生み、今日の敵になってしまうような危うさを、作家は現代の空気に感じているそうです。

一方宮田は、子育てや仕事など日々の暮らしと制作活動に追われる中で、そのスピードに追いつけずに、「うなずいているだけ、祈るしかできないような状態」だと自分自身について話します。

宮田にとって、サイクルの外から「選ばなかった・選ばれなかった」選択肢に目を向け、彫り、刷り重ねる行為は、他者との違いや重なりを見つけるための検証のようなものなのです。今回の展覧会タイトルである「枝分かれのQ」は投げかけられる様々なQuestionに対し、作品を通して作家なりの答えを導き出す試みです。彼女の丁寧に作り上げられた作品群は、鑑賞者に置き忘れた過去や、選ぶ予定のない行き先を思い起こさせることでしょう。
宮田雪乃の個展「枝分かれのQ」を是非ともご高覧ください。

枝分かれのQ