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金井悠

Spectrum


 金井悠(かない・ゆう)は1984年兵庫県に生まれ、京都精華大学修士課程陶芸専攻を修了します。在学中からアーティストユニット「contact Gonzo」のメンバーとして活動し、MoMA(ニューヨーク)をはじめとした国内外の美術館・劇場等で即興的なパフォーマンス作品や映像、写真作品の制作、マガジンの編集など多岐に渡る活動に携わり、2014年から本格的に自身の活動を開始します。

 金井は「出土した玩具」をテーマに、食器や花器からオブジェに至るまで、陶土を用いた新しい表現を模索し続けています。金井の作品は表面性とマティエルへの興味を中心に、伝統技法を応用しながら多種多様に展開されています。たとえば「Ephemera」というシリーズは、紙製のパーツを原型として型取りをしているため、作品の表面に細かい皺や紙の質感が転写されています。また、「Plastic Bag」シリーズでは名前の通り、コンビニエンスストアのレジ袋を元に制作しているので、作品が巧妙にビニールの素材感を帯びています。各々の素材が持つイメージを陶器に担わせることで、陶芸作品の持つ本来の役割や印象とは違った一面を作品から見て取ることができます。

 また、縁起物として日本古来のオブジェであるだるまや、福助人形、招き猫をモチーフとした作品シリーズを展開しており、それぞれのキャラクターが持つイメージや、それに伴うエピソードを改めて捉え直し、魔除けや縁起物としてこれらを作り上げた人々の死生観に触れるような作品へと展開しています。

 今回の展覧会のタイトルである「Spectrum」は、電磁波、信号、音、光などの成分を分解し、波長の順番に並べたものを意味する、分光学や物理学における専門用語です。
様々な性質のシリーズを並行して制作している金井悠にとって、陶芸作品の制作はもちろんのこと、パフォーマンス表現や、デザインなど現在までの多岐に渡る作家自身の活動を並列に捉え、相互作用を楽しんでいる様子がうかがえる展示となることでしょう。金井悠による個展「Spectrum」を是非ともご高覧ください。

作家ステートメント

私は陶芸という枠組みの中で、境界のない一つのスペクトラム(連続体)と捉え、制作しています。

金井悠

Spectrum